胃炎 | 不健康大百科(初版)

胃炎

【概略】
胃炎は『急性胃炎』と『慢性胃炎』に大別されます。
『急性胃炎』
さまざまな原因で胃粘膜が炎症をおこす日常的におこりやすい病気です。
胃炎になった原因を取り除けば数日で治る一時的な胃炎です。
しかし、急性胃炎をくりかえしていると慢性胃炎になるので注意が必要です。
『慢性胃炎』
急性胃炎のようなはっきりとした原因がなくても進行していきます。慢性胃炎は胃粘膜の状態によって以下のように分けられます。
・表層性胃炎
  胃粘膜表面で軽い炎症のある状態
・びらん性胃炎
  炎症により胃粘膜表面がえぐれた状態
・萎縮性胃炎
  胃粘膜の炎症が長く続いたために胃粘膜自体が萎縮し薄くなっている状態
・肥厚性胃炎
  胃粘膜表面が正常より厚く見える状態

いずれの状態であれ、内視鏡(胃カメラ)にて胃の中を見てみないことには状態の判断がつきません。
最近では胃粘膜に異常が見られないにも関わらず、慢性的に胃の不快症状を引き起こすNUD(Non-ulcer Dyspepsia:潰瘍のない消化不良)も見られます。


【症状】
胃炎の症状は急性胃炎と慢性胃炎とでは異なっています。
『急性胃炎』
・胃のあたりに不快感や痛みなどがある
・胃のむかつきや嘔吐(時には吐血することも)
・食欲不振

『慢性胃炎』
・ 常に胃に不快感がある
・ 胃もたれや食後の腹痛
・ 時に空腹時痛
・ 食欲不振
・ 胸焼けや吐き気などの自覚症状がある
・ なかにはほとんど自覚症状のない場合もある



【どうすれば胃炎になれるの?】
まずは急性胃炎になることが先決です。
急性胃炎の繰り返しが、あなたを慢性胃炎患者への道に誘ってくれるはずです。
急性胃炎の原因は、暴飲暴食やストレスなどの刺激によるもの(急性外因性胃炎)と、感染症やアレルギーなど体の中からのもの(急性内因性胃炎)とに大別されます。
・アルコール、コーヒー、香辛料、冷たいもの、熱いものなど刺激物の過量摂取 (外因性)
・アスピリンや抗生物質、非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ステロイド剤など薬の副作用 (外因性)
・ストレス などの心因による (外因性)
・タバコの吸いすぎ  (外因性)
・不規則な生活  (外因性)
・強酸、強アルカリなどの腐食性薬物などを飲んでしまったとき (外因性)
・消化器の病気以外の、カゼやインフルエンザなどの感染症  (内因性)
・牛乳や卵、青魚などのアレルギー  (内因性)

アレルギーは体質の問題もありますのでなかなか難しいですが、
・不規則な生活を送りつつも暴飲暴食を繰り返す。
・なおかつ感染症にかかりやすい場所でタバコをパカパカと吸いながら腐食性薬物を飲むように心掛ける。

こういった生活を心掛ければ簡単に急性胃炎になれます。
ここでポイントになるのは、1回や2回ぐらいの急性胃炎になっても慢性胃炎にはなれないので、前述のような生活を継続させる事が大事なのではないでしょうか。

慢性胃炎は急性胃炎の繰り返しのほかに以下のような原因があります。
・ピロリ菌の感染
・加齢による胃の老化

「急性胃炎の繰り返しがまどろっこしい!」という方はピロリ菌のキャリアになるのが早道ではないでしょうか。
しかし、慢性胃炎はジワジワと進行していくのが特徴でもあるので焦らずにいきましょう。


【胃炎になりたくないんだけど?】
急性胃炎の場合は、その原因さえ取り除けば数日で治せます。
不規則な生活やストレスからきた場合は、心身ともにリラックスできる環境を作りましょう。
薬の副作用の場合は飲んでみないと解らないことですから、次回より他の病気でお医者さんに掛る時でも薬の副作用のあった旨をきちんと伝えましょう。薬は違う成分であっても同じ効能のあるケースが往々にしてあるので重要な予防策といえます。
過度の暴飲暴食や刺激物の摂取は控えるようにしましょう。これが原因の場合は1日絶食やお粥等のやわらかい食事に切り替えるなど胃を休めることで治ります。

急性胃炎は日常的に起こりやすい病気ではありますが、原因が判っていれば自分で治すことや予防することも容易な病気でもあります。
しかし、以下のような原因・症状の場合は速やかに専門医に診てもらいましょう。
・ 激しい嘔吐や激しい痛みなどがあるとき。
・ 強酸、強アルカリなど腐食性薬物を飲んだとき。
・ 感染症やアレルギーによる胃炎 。


慢性胃炎になってしまうと『持病』とまで言える状態になってしまうので、医師の診断と治療が必要となります。
バリウム検査や内視鏡検査で胃の中の状態を観察し、炎症を起こしている胃粘膜の状態に応じて治療を行います。胃酸の分泌を抑える薬や胃腸機能を調整する薬が使われます。
慢性胃炎は薬の服用をやめると再発することがありますので、自覚症状がなくなったからといって「治った」と自己判断せずに、医師の指示のもと、きちんと薬の服用を続けましょう。
また薬だけでなく、規則正しい生活を送り、胃に負担をかけない食事を心がけることが大切です。