自律神経失調症 | 不健康大百科(初版)

自律神経失調症

【概略】
自律神経失調症とは外的な刺激に対して、それを排除しようと自律神経がガンバリ過ぎるた めにおこります。自律神経というのは個体の生命を維持する為に、個体の意思とは関係なく自動的に働く神経で、

心臓を動かす・明るい所から暗 い所に移動した時に瞳 孔を広げる・寒い時には毛穴を閉じて体温が逃げないようにする(鳥肌)などは、全て自律神経の働きによるものです。

・ 精神の調整
悲しいと涙が出る・驚くと心臓がドキドキするなど、精神的な変化を身体の反応としてあら わす。
・神経の調整
外部の気温が上がっても体温が一定に保たれるなど、外部から刺激を受けても身体を 一定の状態に調整する。
この働きは「ホメオスタシス」と呼ばれています。
・内分泌の調整
ホルモン 分泌とも密接に関係している。
女性に自律神経失調症が多くみられるのは排卵・月経・妊娠・更年期等の性周期がホルモンと深く関係しているた め。
・免疫の調整
体内に細菌やウイルスが侵入すると抵抗力をつけたり、発熱した場合に熱を下げようと するなど、病気の予防や治癒のための働きがある。

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、必要に応じて切り替わります。


『交感神経』
昼間に活発になる神経で、気管支を拡げる・心臓の働きを促す・胃腸の働きを抑える など、体を活動するための状態にしようとします。車でいうとアクセ ルのような役割になります。
『副交感神経』
夜間に活発になる神経で、気管支を狭くする・心臓の働きを抑える・胃腸の働きを促すなど、体を休ませるための状態にしようとします。車でいうとブ レ ーキのような役割になります。

人の体内時計は昼に活動するようになっているそうですので、昼間は体を活動モードにして夜は休止モー ドにしているということが自動的に体の 中でおこなわれているのです。
ダイエットで言われる寝る前に食べたら肥るとか、寝ている間の心拍は下 がり呼吸の回数が減るとか、健康の為には早寝早起きだとか、食後すぐに運 動するのはよくないなどは、自律神経の働きをふまえたものであるのが 解りますね (* ̄∇ ̄*)


【症状】
全身を管理する自立神経が調子を狂わせるので すから、症状は色々な部位で起こり、複数の症状が一度に起こる場合も珍しくはありません。

頭痛、頭重感
耳鳴り、耳の閉塞感
口の乾き、口 中の痛み、味覚異常
疲れ目、なみだ目、目が開かない、目の乾き
のど のどの異物感、のどの圧迫感、のどのイガイガ感、のどがつまる
心臓・血管系動悸、胸部圧迫感、めまい、立 ちくらみ、のぼせ、冷え、血圧の変動
呼吸器息苦しい、息がつまる、息ができない、酸欠感、息切れ
消化器食道のつかえ、異物感、吐き気、腹部膨満感、下 腹部の張り、腹鳴、胃の不快感、便秘、下痢、ガスがた まる
手のしびれ、手の痛み、手の冷え
足のしびれ、足のひえ、足の痛み、足がふらつく
皮膚多汗、汗が出ない、冷や汗、皮膚の乾 燥、皮膚のかゆみ
泌尿器頻尿、尿が出にくい、残尿感
生殖器インポテンツ、早漏、射精不能、生理不順、外陰部のかゆみ
筋肉・関節肩こり、筋肉の痛み、関節のいたみ、関節の だるさ、力が入らない
全身症状倦怠感、疲れやすい、めまい、微熱、フラフラする、ほてり、食欲がない、眠れない、すぐ目が覚める、起 きるのがつらい
精神症状不安に なる、恐怖心におそわれる、イライラする、落ち込む、怒りっぽくなる、集中力がない、やる気がで ない、ささいなことが気になる、記憶力や注意力が低 下する、すぐ悲しくなる

内臓や器官の病気などの症状として表れるわけではないですので病院にいって検査 をしても「異常なし」となります。
しかし、特定の部位に強く症状があらわれた場合は別の病名がつけられることもあります。
以下のような病 気は自律神経失調症の一種もしくは仲間ともいえます。
循環器系心臓神経症、不整脈、起立失調症候群、起立 性調節障害
呼吸器系過呼吸症候群、気管支ぜんそく
消化器系 過敏性大腸症候群、胆道ジスキネジー、神経症嘔吐症、反復性臍疝痛、神経性下痢
神経系偏頭痛、 緊張性頭痛
耳鼻科めまい、メニエール病、乗り物酔い、咽喉頭異常感症&
口腔外科口内異常感症、舌痛症、顎関節症
皮膚科円形脱毛症、発汗異常、慢性じんま しん
泌尿器系膀 胱神経症、夜尿症、心因性排尿障害
婦人科更年期障害

過去に紹介した『円形脱毛症』も自律神経失調症 の仲間だったんですねぇ。つまり私は自律神経失調症なわけです(* ̄∇ ̄*)
(水が温くなってきたからのか、ハゲてる部分に新毛が生えかけてい ます。春ですネェ。。。)

【どうすれば自律神経失調症になれるの?】
自律神経失調症には4 つのタイプがあります.。

『本態性型自律神経失調症』
生まれつき自律神経の働きが乱れやすい人 がかかりやすいようです。
低血圧、虚弱体質、体力に自信がない人などが多くかかるタイプです。
『神経症型自律 神経失調症』
心理的なことからくるもので自分の身体の不調に敏感な人がなりやすいようです。
身体的な不調が多くみられる場合 に神経症ではなく自律神経失調症と診断されます。
『心身症型自律神経失調症』
感情や疲労などの日常生 活のストレスを無理に抑えることで起こります。
自律神経失調症を患っている人の約半数がこのタイプで、あらわれる症状やその重さが多岐に広 がっています。
『抑うつ型自律神経失調症』
ストレスの慢性的な蓄積などによるうつ反応です。
もっと も間違えられやすい病気が「仮面うつ病」です。仮面うつ病はうつ病の一種で、不眠や食欲不振、倦怠感などの症 状が 前面に出て、精神的な症状が隠れているため、よく自律神経失調症と間違われます。

これらのタイプを熟知し、自分が一番なりやすいタイ プがわかれば、そこからアプローチをかけましょう。

【自律神経失調症になりたくないんだけど?】
なりたくはないのですが、身体的・精神的に外部からの刺激を受けない状況での生活は不可能と思われます。
ですので、症状・タイプ・程度などにより、身体と心の両面に働きかける治療や生活環境を整えるなどのことを行う必要があります。体質・性格・ライフスタイルの歪みにも注 目して見直し改善することが必要でしょう。
治療法としては主に以下のようなものがあります。

・ 自律訓練法 などによるセルフコントロール
・ 薬物療法
・ カウンセリングなどの心理療法
・ 指圧やマッサージ、整体、鍼灸、ストレッチなどの理学 療法
・ 音楽療法やアロマテラピーなど五感に働きかける治療法


「外部からの刺激=ストレス」 と解釈して差し支えのない病気なので、ストレスと上手に付き合うことも予防もしく は改善へつながります。たとえば趣味を持とうと、スポーツジム や合唱団に入ったことを機に治った方も大勢いるそうです。
あるお医者さんが「ストレスと付き合う10カ条」として以下を提言されています。

(1) 完璧主義を捨てる。
(2) 現実を直視する。
(3) 自分なりのストレス尺度を持つ。
(4) 心から打ち 込める趣味を持つ。
(5) つらくなったら悲鳴を上げる。
(6) 悩みを打ち明けられる心の友を持つ。
(7) 軽い運動でいい汗をかく。
(8) 先入観を持って人と接しない。
(9) 解決を先に延ばさない。
(10) 「ノー」という勇気を持つ。


特に患っている人の 半数以上を占める心身症型の予防改善の提言ではないかと思います。
過去の記事の中でもストレスは何度もでてきていますが、それは過度のストレスが様々な病気の要因になることを示しています。
症状が自身に当てはまるなぁという人は、早々にストレス発散の手法を見つけましょう。