花粉症 | 不健康大百科(初版)

花粉症

【概略】
花粉症とは、花粉に対するIgE抗体(アレルギー抗体)が多くなっておこる過敏反応(アレルギー症状)で、症状は主に目と鼻に現われます。
日本では人口の10%強が花粉症とされており、そのうちの80%はスギの花粉が抗原(アレルゲン)だそうです。
毎年、樹木や草花の花粉が舞う季節に繰り返して起こります。

IgE抗体は花粉接触を繰り返すうちに体内に蓄積され、その量が一定ラインを超えるとアレルギーを発症します。
具体的には、そのアレルゲンが再び体内に侵入したときにIgE抗体がこれをキャッチして肥満細胞に伝え、ヒスタミンなどが放出され、これらが過剰に血管や神経を刺激することでアレルギー症状が出ます。
去年まではなんともなかったのに、急に今年から花粉症になったという経験のある人もいらっしゃると思いますが、これは花粉のIgE抗体の量が今年になって一定量を越えてしまったということなのです。


【症状】
花粉症には4つの症状があらわれます。
・くしゃみ
・鼻みず
・鼻づまり
・目のかゆみ(ひどい場合は急性アレルギー性結膜炎と呼ばれる)

アレルギー症状ですので、上記の4大症状に加えて以下のような症状がでることもあります。
・微熱
・頭痛
・気管支などの炎症
・急性蓄膿
・倦怠感

風邪と間違われやすい症状ばかりですが、風邪の発生原因とは異なるので当然のことながら風邪薬では治せません。


【どうすれば花粉症になれるの?】
体内に一定量以上のIgE抗体を蓄えればいいわけですから、スギの花粉症になりたい人は飛散開始日から2~3ヶ月の間、スギ林で生活すれば簡単に花粉症になることができます。
ちなみに飛散開始日は、西日本が2月上旬、関東周辺が2月中旬、北陸から東北が2月下旬から3月上旬になります。
同様に、ヒノキ・ハンノキ・シラカバ・カモガヤ・オオアワガエリ・ブタクサ・ヨモギなどの花粉症の原因になる植物を庭に植えてみたり、小さなものなら鉢植えにして家中に配置してみましょう。
花粉だけでなく排気ガスに含まれる化学物質ハウスダストもアレルゲンとなり花粉症になれるので家の窓は出来るだけ開けておくように心掛けましょう。

【花粉症になりたくないんだけど?】
花粉症は抗原が空気中を浮遊しているのですから、花粉の飛んでいる時期は花粉症でなくてもマスクや眼鏡をしてIgE抗体の生成速度を遅めるようにすることができます。
毎年、花粉症になっている人ならば自分の抗原が何であるかを調べてみましょう。
それが判れば花粉が飛ぶ2週間ほど前から抗アレルギー薬を予防的に用いることで期間中の症状を和らげることができます。
しかし、あくまでも症状を和らげるための予防ですので期間中はマスク等で花粉を防ぐようにしてください。
一度できたIgE抗体を取り除くことはできませんが、ヨーグルトを食べることで活動を抑えることはできます。
お酒や刺激の強い香辛料などは鼻の粘膜の毛細血管を広げて鼻づまりをひどくします。
また、疲労やストレスは自律神経を過敏にするので花粉症の症状に拍車をかけます。
薬で治療の場合はヒスタミンを抑える薬を投与するのが一般的なようです。

花粉症がアレルギーであることは先に述べましたが、花粉症の人は『果物アレルギー(口腔アレルギー症候群)』になりやすい人でもあります。
その理由は花粉症を起す花粉アレルゲン(原因となる抗原)と、特定の果物・野菜が持つアレルゲンが共通するためです。口から入ったアレルゲンと花粉症を起こす抗体が反応してアレルギー反応を引き起こします。
口腔アレルギー症候群では、特定の果物(野菜)を口に入れると、花粉を吸い込んだ時と同じように、咽の奥、唇、舌の痒みや痛みを覚えます。さらに吐き気や下痢などの消化器症状を起こします。花粉症ではあまり起きない喘息発作を起して、救急車を呼ぶ事態になることもあります。

 

スギ・ヒノキトマト
シラカババラ科(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、イチゴ、ウメなど)、キウイ、ニンジン、セロリ、クルミ
ブタクサスイカ、メロン、キュウリ、バナナ
カモガヤメロン、オレンジ、トマト、バナナ、セロリ、ジャガイモ
ヨモギリンゴ、キウイ、ニンジン、セロリ

 

花粉症も辛いのですが、口腔アレルギー症候群の症状の方が酷くなりがちなので、先ほどの予防の観点も含めてご自身のアレルゲンを明確にされている方がよいと思われます。



【追記】
洋なしさんのブログ『洋なし型遺伝子』にて、ご本人さんが受けている治療法である『星状神経節ブロック療法』が紹介されていました。
(細かい内容はこちらから!)
一般的に、頸椎椎間板ヘルニア、顔面の帯状疱疹、片頭痛など上半身の痛みを伴う治療法としてよく知られているそうで、花粉症にも効果があるようです。私はこの治療法自体を全く知りませんでした^^;